ガヤルドの試乗についてはまだ触れていなかったので、忘れないうちにUPします。

ガヤルド。存在そのものが特異な輝きを放っていますね。とにかく幅広、低い、という印象を受けます。キーはアウディと同様のものですが、若干形状とボタンが異なりますね。車に比較して、キーはわりと普通、といった印象です。ドアを開け、乗り込むところまでは、「思っていたよりも」普通に出来ます。とくに身をかがめたり、滑り込むような窮屈さを感じず、このあたりはカレラとそれほど変わりがない、という印象です。
ただし、座っている位置はやはり低いですね。低い全高のなかでスペース補確保するため、そして重心を下げるためという目的もあるかと思いますが、着座位置に加えシートの肉厚も薄いので、長時間座り続けることに対しては若干の不安を覚えます。ですが、シートの構造は抜群で、結構「しっくり」来ますね。ぼくはイタリア車についてはあまり親しんでおりませんので、この座面が一般的なのかどうかは不明です。そういえばイタリアはソファでも硬めの製品が多いですよね。
エンジン始動直後の爆音は以前に述べたとおり。しばらくするとあの爆音が嘘のように落ち着きます。このとき室内にいると、振動や排気音はほとんど感じません。かなり静かですね。とりあえずATモードで走らせます。段差を越えるときは思ったよりも衝撃が無く、サスペンションが良く衝撃を吸収していること、ボディ剛性が高いことを感じますが、その反面シートが薄いことに起因するのか、腰のあたりに突き上げを感じます。内装のビビリ音は感じませんでしたが、非常に鋭いキシミ音をなんどか耳にしました。雰囲気的には内装というよりはフレームがきしんでいるような感じでしたが、実際は不明です。997に比べると幅が8cm広くなっただけ、つまり片側4cmづつ広くなっただけですが、運転するととんでもなく広く感じますね。しかし、角張っているせいか見切りは良く、車輌感覚はつかみやすいです。ゆっくり走っていると非常に安楽で、それが560馬力の心臓を持っているとは信じがたいほど簡単にドライブできます。
高速に乗ろうとETCレーンへ入るわけですが、やはりここでも全幅の広さに慣れず、ちょっとビビリ気味。無事ETCレーンを通過してアクセルを踏み込むと、それからはも怒濤の加速でして、しかしながら姿勢はビシリと安定しているので微塵の恐怖感もありません。高速コーナーもとんでもない速度で駆け抜けます。このあたりは4WDとレイアウトの恩恵といったところでしょうか。ふだん997(RR)に慣れていると、ちょっと信じがたい、驚異的な動力性能ですね。メーターはLP560-4からフォントなどが一新されたと聞いていますが、メーター自体も全般的にちょっと見難い(慣れていないということも大きな理由)と感じます。とくにスピードメーターは340km/hスケールなので、一目盛りの間隔が狭く、160キロなのか190キロなのか、文字もメーターの針にかくれてしまって読みづらいと感じました。この点(必要な情報の表示)については、やはりポルシェは(質素といわれながらも)見やすいですね。
ステアリングは太く安定していて握りやすく、当初心配していたドライビングポジション(がうまくとれるかどうか)についても、まず問題なく決まります。おそらくはeギア仕様のためにクラッチペダルのことを考えずにシート前後位置をあわせることができるのが大きな理由ですが、その意味でもやはりeギアを選ぼうと思います。ペダルレイアウトに関しても、走り出してしまうと違和感を感じませんが、ブレーキペダルのフィーリングについては、かなりの違和感を覚えます。反発力が強く、踏力に応じてブレーキの効き具合を調整することが非常に難しく思えました。反発力を感じながら奥まで踏み込んで、いちばん奥の方で突如利く、といった感じなので、思い切って踏む必要があると感じました。e ギアについては、もっとも変速速度の速い「コルサ」モードではガッツンガッツン繋がって気持ち良いですね。通常のモードではやや「半クラ」の時間が長いようにも感じ、とくに高回転域ではその「半クラ」のために車体が揺さぶられるような印象を受けるので(たしかに初期モデルではボディが振動していた記憶がある)、回転数を上げて走る場合は、より変速時間の短いモードを選ぶのが良さそうです。
速度を上げると、排気音も大きくなり、同時に「ミィー」という音が大きくなります。おそらくは回転系のベアリングの音だと思いますが、997のホイールバランスをオンザカーでとったとき、ホイールを回転させた場合にも同じような音が聞こえました。
しかしこのeギアというのは思ったよりも便利なシロモノで、アクセルを踏みっぱなしでも変速できますし、とにかくクラッチ操作を気にしなくてもいいというのはこんなにも楽なものなのか、ということを感じます。反応速度や、(クラッチ操作のある)MTの感覚に非常に近く(というか同じ)、しかも煩わしいクラッチ操作が不要、という点ではこのeギアは非常に優れていると思います。現在主流になりつつある2軸出力ではありませんが、だからこそ従来のMTに近いものがあるのでしょうね。おかげでステアリング操作とアクセル、ブレーキ操作に集中できるので、とにかく楽しく快適に車を走らせることができ、メンテ費用とOP価格のことを考えなければ、選ばない理由はない、と感じた次第です。
ぼくが非常に優れていると思ったのは、やはりeギア。気を遣わずに運転に集中できる装備としては非常に優れたものだと思います。体感パワー、加速感に関してはほぼ予想どおりで、安定性、ハンドリングについては予想以上。運転のしやすさも予想以上。乗り心地の良さ、静かさについても予想以上ですね。地上高についても気をつければ問題の無いレベルでしょう。
そして、ちょっと嬉しかったのがフロントナンバープレートの位置と取り付け方法。これは金具で取り付けてあるだけですので、金具をチョチョイと弄ればインビジブルな角度にナンバー取り付け角度自体を曲げることができそうです。たかがナンバープレートではありますが、997では悩みのタネであっただけに、非常に嬉しいポイントですね。ちなみにリヤのナンバープレートはリヤフォグを一部隠してしまっていますが、このあたりが「日本市場はどうでもいい」的な印象を受けますが、もしかすると各国の法規とデザインとのギリギリとの妥協点があの位置なのかもしれず、それはそれでOKです。
逆に問題だと感じたのはシートの薄さ、通常もしくはATモードにおける、高回転時のeギアの変速ショック。意外に気になったのが風切り音。これは排気音が静かであるせいもあるでしょうね。かなり大きく感じました。やはり気になったのが後方視界。ルームミラーはリヤウインドウすべてをカバーするほど良く見えるのですが、ナナメ後方の視界はとにかく皆無に等しく、これはトンネルバック形状をしているCピラーが視界を遮っていることも原因ですね。これは実際に路上では大きな問題になる可能性もあり、室内天井に(後方に向けて)カメラを設置しようか、と思ったほどです。
そして、これは常にぼくの頭の中にありますが、「この価格は適正なのか」という疑問。
これがあったら良かったのに、と思うのは電気式パーキングブレーキ、そしてエンジンスタートボタンもしくはエンジン始動に関するなんらかの演出。
ぼくは、この類の車を試乗するときは、だいたいカレラに乗ってゆきます。カレラに乗っていって、その直後に試乗を行い、またカレラに乗る。または、納得できない部分があれば、同じ試乗コースをカレラで走ってから帰る、といった行動をとることで、いろいろなことが適正に判断できると考えているからです。そのような場合、今まで気づかなかったカレラの良さに気づくこともあり、面白かったりして、これが「911はスポーツカーのメートル原器」といわれる所以なのか、と考えたりします。
もうひとつ、同じ4WDレイアウトと似たようなパワーとなると、比較対象に挙るのがやはりGT-Rですね。あらためて思うのは「GT-Rは凄い車だ」ということです。体感的な安定感はガヤルドが上、加速感はGT-Rの方が上だと感じました。0-100のタイムは同じですが、このあたりはターボ/NA、ギア比の差異によるものでしょう。GT-Rは運転している感覚が希薄でしたが、ガヤルドは、停車していても目に入る風景が「ガヤルド」であり、「オレは今ガヤルドに乗っている」感が強いですね。また、車の挙動や排気音、ハンドリングなども、ガヤルドの方が「運転している」感が強く、楽しいと感じました。その一方、GT-Rはそれらを感じさせないのにあの速さ、というところが恐ろしくもあるわけです。