
クロースオーバー検討を通じて、ぼくが感じたこと。
まず、ミニはぼくが最も長い期間を通じて所有した車であり、もっとも長い距離を共に走った車である、ということをここで述べておきたいと思いま す。
そして、車体のヤレや消耗品の交換時期が一度にやってこなければ、まだまだ一緒に走っていたであろうことも。
世間では「クロスオーバーはミニじゃない」という意見が大半を占めるようですが、ぼくはクロスオーバーについて、「ミニそのもの」と感じていま す。
4ドアで4WDで、ボディ形状も3ドアハッチとは異なりますが、実際のところクロスオーバーは「紛れも無いミニ」なのですね。
タイヤがあって、ステアリングホイールを切れは切っただけ曲がる。そのときの車の動きをステアリングホイール(ひいてはドライバー)にフィードと して伝える。
アクセルを踏めば踏んだだけ加速する。そのときに、エンジンの回転数の上昇や排気音が大きくなることをそのままドライバーに伝える。
今車を運転している、という感覚が濃厚で、車とのやりとり、という点においては他同じカテゴリのブランドを寄せ付けないものがあり、車体が大きく なり重量は増していますが、その感覚は3ドアハッチに勝るとも劣らないものだと、ぼくは考えています。
その感覚はポルシェのスポーツカーにも似て、非常に「ダイレクト」であり、ありきたりな表現ですが「楽しい」と純粋に表現できるものであります。
自動車本来の運転する楽しさがそこにある、とぼくは思うのですね(だからこそ、ポルシェオーナーの方がミニも所有されるケースが多いのだと思いま すが)。
そしてもうひとつ、ミニのミニたる要件として重要なのが「スタイリング」。あのスタイリングがミニをミニたらしめ、外観における差別化を図る要因 であり、「歴史のあるブランド」にしか持つことができないアドバンテージである、と考えています。
BMWが単体で成し得ず、「ミニ」というブランドを買収することによってしか実現出来なかった、「ブランドが築き上げた歴史と認知度、”視覚”と いうある種有形資産」がそこにあるわけですね。
なので、他のブランドがいかにミニを真似ようとも、それはフォロワーでしかなく、オリジナルを超えることはできないわけです。
「大きい車の方がエライ」という認識がある中国や香港でも、ミニは非常に高いブランド力を持っているように感じます。
「お金のある人は大きな車に乗り、そうでない人は小さな車に乗る」といった傾向が強いようですが、ミニに関してはそれが当てはまらないのですね。
ミニに乗ること自体に意味があり、ミニに乗ること自体を目的として「ミニという車を選ぶ」ことが出来る稀有なブランドであり、だからこそミニに 乗っていてもまったく気後れすることが無いわけです。
香港のペニンシュラ・ホテルはロールス・ロイスを多く所有していること、何年に一度かそれらを入れ替えることで有名ですが、そのペニンシュラ・ホ テルが顧客サービスの一環としてミニを導入したことからも、それは伺うことができますね。
上で「ポルシェの”スポーツカー”」と表現したのは、カイエンとパナメーラが、911やボクスターと異なる性格を持っているからです。
外観のデザインには共通する要素を持たせながら、その性格をうまく分けているのですね。
その性格とは、綿密なマーケティングによって形成されるもので、そこから開発がスタートするものと考えられますが、現在のところ、その「仮想ユー ザー」はほぼポルシェの思惑通りではないかと思います(カイエンのユーザーのほとんどはオフロードを走行しないという点では外れたと言えます が)。
なので、ポルシェを複数台所有することには意義がありますし、ともすると「ポルシェ全ラインナップ所有しても、使い分けが可能」とも考えられるの ですね。
一方、アストン・マーティンでは、現在のラインナップの考え方がミニと似ているようにも思えます。
ランドローバーも、ぼくから見るとアストンに似ているように思えます。
(もちろんぼくは上記2ブランドに明るくありませんし、この2ブランドに親しんでいる方からすると、「ラインナップ間でぜんぜん違うよ」となるか もしれません)
そう考えると、これはある種の国民性(ミニ含め、共通するのはイギリスのブランド)ではないか、とふと思うこともあるのですね。
現在BMWが考える(とぼくが勝手に推測している)ミニがミニたる要件、「運転する楽しさ」「スタイリング」。
今までのミニの成功要件でもありますが、そこがミニのある種弱点ではないか、と逆に考えることもあるのですね。
現在のミニのラインナップはいずれも、「紛れも無くミニ」であるがために、強固なブランドイメージを作り上げている反面、それがうまく作用しなく なったら、という懸念もあります(ぼくがミニというブランドに非常に愛着があるために、余計に心配するのですが)。
現在、ミニからミニへの移行や、ミニを新規に購入される方については、おそらく「ミニが好きだから」というブランド力による選択理由が大きい、と 想像できます。
そしていったんミニへ入ると、家族構成や収入の変化によって、「ミニ・ブランド」内で選択を完結させよう、という考え方もあるかと思います。
ですが、現在のミニにおいてはポルシェのように「車の性格によって乗る車を選ぶ」と言うよりは、同じ性格の車を「ボディ形状によって選び分ける」 という傾向もあるわけで、今後車種を拡大してゆくであろうミニにとって、「ミニ・ブランド内でのラインナップ各車の性格を統一するか、分けるか」 がある種課題になるかもしれない、と考えるのです。
現在のミニは、かつてBMWが「金太郎飴」と言われた時のような考え方で、ポルシェのようなラインナップの広げ方とはまた異なるのですね。